Zのエンジンオーバーホール
最新型ネタと旧車ネタが交互にやってくるウッドストックブログです。
交互にしているつもりはないのだけど、今回は旧車で…
まずはZ2のエンジンのオーバーホール。
洗浄液で綺麗にしているはずのクランクケースなのに、それでも組む前に内側の汚れを確認してみると、まだどうにも気に入らなくて、その壁面とオイルラインを入念に洗浄しなおしてから組み始めます。
自分はとにかく大事なクランクケースを合わせるまではかなり神経質になっており、分解した時にきちんとチェックしているのにも関わず、組む時にも再度チェックしながら作業を進めますので、この状態になるとやっとひと安心という感じになりますね。
とは言え、準備に時間をかけている分、組み始めるとかなり速い速度で仕上がっていきます。 同じエンジンが何基も分解されていますので、同時進行で数基とも組んでしまえばもっと効率良くいくのではないかと思うのですけど、そこは一台一台に愛情をかけながらでないと良い仕事になりそうにありませんので、効率は無視して作業をしています。
このエンジンはパワーはなくとも長く調子良く乗れるようにするのが目的の優しい仕様ですので、ボアアップや圧縮比アップやハイカムは使わず、当たり前のことを当たり前に組んで普通に使ってもらえるような内容のエンジンです。
今、分解している他のZのエンジンも同じような仕様でして、このところこのような長持ち仕様のエンジンが増えてきているような気がしますね。
あとは多く入庫してくるのが難病に苛まれている症状のマシン。 できれば出合いたくないような原因の究明と治療にとてつもなく時間がかかるものが多く、その中でもやっかいなキャブレター関連の不調が数多くやってきます。
だいたい最初の依頼はキャブレターのセッティングをしてほしいという依頼なのですけど、セッティングを進めていっても ??? なんだこれ? セッティングの問題ではないんじゃないの? というように、根本的な整備がいきとどいていなかったり、変な方法でカスタムされていたりして、セッティングの前にまずは修理からしなきゃというようなことが少なくないのが現状です。
それはエンジンやキャブレターだけではなく、足回りに関してもそうでして、もの凄く費用のかかっているカスタムマシンが 「どうだ~!!」 とやってきますが、ぱっと見でどんなハンドリングなのかが安易に想像できるくらい、パーツの組み合わせだったり、組付け寸法に問題があったりするマシンが非常に多く、これを作った人は完成と思われる状態で試乗をしたことがあるのかなと、疑問に感じることも珍しくないですね。
基本に忠実に、どこかの部品を変更したら、全体の調整を見直して、基本の状態に近づけるようにしないといけません。 それでも難しいのに、フロントフォーク、スイングアームなどのほとんどの部品を交換した場合には、それをバランスよくノーマルを上回るパフォーマンスを出すのは不可能ではないかと思うくらい難しい仕事になりますので、レーサーやカスタムマシンを作る際に、パーツを多数にわたり交換する場合には相当なレベルのショップでなければバランス良くまとめることはできないと思います。
レーシングキャブレターにしてもレース用のサスペンションにしてもそうですけど、つるしの状態から使い物になる状態までに調整し熟成させてあげるまでにできないならばノーマルの方がよりバランスが良く使い勝手が良いということを理解する必要がありますね。