Z750GP作業
久々に登場しましたZ750GP
まだマシニングを導入する前だからウッドストックでカスタムしてから20年くらいは経過しているはずの750GPですが、まだまだとても綺麗に乗っていただいていることがありがたい車両です。
今回はASウオタニさんのSP2フルパワーキットの取付けでの入庫。
キットの取付けさくさくと進みましたけど、ボックス本体の固定をするところがありませんでしたので、おざおざステーを製作してバッテリーケースにボルト留めできるようにしました(写真撮り忘れです。 すみません)
取付けが完了して試乗してみるとスロットルの動きが悪いのとアイドリング付近の落ち着きが悪いのかな? という感じでしたので、修復作業&調整。 長年悪態をついてくるとても良いお客様なので、また文句を言われたら嫌だし、頼まれていないけど、空燃比まで測定してあげながらスローの調整をしました。 優しいですね~ いいお店ですね~ なんて親切なんでしょうね。 こんなサービスまでしてくれるんだから、ウッドストック工賃高いよ、なんて言っちゃだめですよ!
その昔にろくな機械なんてなかったころにほとんどの工程を手作業で作ったパーツの数々をいまだに使っていただいています。
このフロントのキャリパーサポートもそうですね。
こちらのリアのフローティングのサポートも手作業。
ボール盤とヤスリと紙ヤスリ仕様です。
このスタビライザーも当時のワンオフ品です。 外周だけではなく、内側の肉抜きの穴の部分も手作業で切り取ってから綺麗に直線部分とアール部分を仕上げていました(ヤスリと紙ヤスリは偉大な工具ですね)
何でもかんでもコンピューターで複雑な形状に加工するのが偉いわけではなく、適材適所で、このような旧車には手作り感がある方が似合っていてカッコいいのではないかと思います。
そして、このマシンに乗ってみると、オートバイの前後の高さ、長さ、角度、剛性、動きの速さなどの重要性を感じます。 まだ自分にたいした知識がない頃に作らせていただいたマシンだけど、偶然にも(ごめん)バランスが取れており、とても自然にどこにも変な力を入れることなく気持ち良く乗ることができます。
またいつか詳しく書いてみようとは思っていますけど、いろんなパーツを交換したりしているカスタムされたマシンのバランスが崩れていて、せっかく高い費用をかけているにも関わらず、明らかにノーマルの状態から悪化しているオートバイに接する機会が非常に増えており、最近のパーツは確かに “取付けるだけ” はボルトオンですので、通販や量販店でパーツを購入してくっ付けることだけはできるのでしょうけど、先程の高さ、長さ、角度、剛性、速さなどまで考えてバランスを取る能力がないと、まったく機能していないどころか、酷いと乗れたのもではない状態にまで悪化しているケースも少なくありません。 オートバイは4輪車に比べて軽い乗り物ですので、押して歩いたり、サスを押したりするだけでも異常を感じ取ることができます。 押して歩いておかしいマシンは走っておかしくないわけありませんし、 サスを押して動かないマシンは走っても動くわけありません。 止まった状態で押してみてリアよりもフロントがよく動く気がすれば、走ってもフロントから先に動き始めます。 このような状態を把握する能力があるのが良いメカニックであり、把握してあげようといつも気遣いができる人が優しいメカニックであると思います。 この “優しくて良い”、の両方が備わっていないと良いマシンに仕上げること、そして、良い状態を維持することはできないはずですので、少しでも良い状態とはどんな状態なのかを知りたい方は安いパーツを売っているところを探すことに時間を費やすよりも、良いお店や優しいメカニックを探す努力をした方がより良いオートバイライフを送れるのではないかと思います。 それはパーツを安く買えた差額なんてあまりあるくらいの対価を得られる最良の方法のはずです。
これ、ほんとにほんとでウッドストックの宣伝のために言っているわけではないですので、あしからずです。