ZX-6R、ZX-10RRサスペンションメンテナンス

サスペンションのメンテナンス

シーズンオフの間にエンジンやサスのメンテナンスでレース用の車両がたくさん入庫してきています。

その多くはオーリンズのユーザーさんですけど、ショーワを使っている方も多く、ウッドストックでもレースでは両方使っていましたので、スプリングの保有数だけだとショーワ用の方が圧倒的に多いくらいです。

こちらの2本のリアサスはZX-6Rで使っているお高いレース用のものと、ZX-10RRのノーマルサス。

レース用は油圧のプリロードアジャスターが採用されていたり、圧側の減衰に高速もアジャスト出来たり、サス長が調整出来たりするので、高価になるのも頷ける仕様になっています。

ノーマルはそのような便利な機能はないものの、実際に走らせているライダーさんのタイムを見てみると、相当なタイムまで出ており、ノーマルでも充分な性能が出ていると思われますので、このシーズンオフにしっかりとメンテナンスを施して、来シーズンも練習に使ってもらおうとOHしました。 OHしましたと自分がやった風に言ってしまいましたけど、ショーワと言えばいつも頼りにしている、RSイトウさんの小澤さんにお任せするのが一番ですので、お願いしました。

購入してみた他社製のスプリングコンプレッサーも持っていますけど、やっぱり自分たちで手作りした長年愛用しているこっちの方が数段使いやすいので、ぼろぼろになってもついついこちらを使うようになりますね。 こちらのZX-6R用に方はもう数年使い続けているので、OH前に測定しておいた数値になるようにスプリングプリロードやダンパーを戻しました。

こちらのZX-10RR用の方は油圧アジャスターがないので、何度かスプリングを組み直しながら、プリロードを調整。 ライダーのタイムとコースを考えて、かなりプリロードを抜いて組付けましたが、もうこれ以上抜けないところまできましたので、更に抜きたいとなった場合にはアジャストのナットを加工するか1枚抜けばいいか? なんて、次の一手を考えながら組付けました。

スプリングはひとつひとつ長さやレートが違いますので、きちんと管理していかないといけません。 

こちらのレース用は画像のようにスプリングの長さでも確認しますけど、プリロードアジャスターの回転数でも管理しておいた方がいいですね。 またトップアウトスプリングのレートや長さを変更することでも組付け長やサス長も変化しますので、こちらの管理も必要になります。

上記のような細かいことを言うことがあるわりには、こちらの10RRの方には、「オーリンズにした方がいいですか?」 と言われても、「まだまだバネが付いていたら何でもいいよ!」 と、ノーマルのままでも大丈夫と太鼓判を押してしまった責任がありますので、嘘にならないようにしっかりと考えないといけませんね。

後ろもだけど、やはり大事なのは前の方ですので、こちらもメンテナンスはしっかりしておきます。

フロントもノーマルですけど、スプリングレートを変更して今練習中の乗り方に対応できるようにセッティングにしています。

と、このようにメンテナンスは大切であり、セッティングの管理も大切ではありますけど、オートバイを操作して動かしているのはライダーです。 前にも言いましたけど、サスが硬くても、操作の仕方で速く動くようにもできるし、サスが柔らかくても、操作の仕方でゆっくりと動かすこともできます。 私たちがしているのは、操作がしやすくなることを目的としてセッティングしているだけで、操作をしなくても動くようにしているわけではありません。 むしろそれは不可能なことですよね。

操作をしなくても曲るようにしたい、などと、間違ったことを考えている人が作るマシンは、前が下がって後ろが上がった、へんてこりんなオートバイになっていることが多く、ライダーの操作で前後に程良い速さでシーソー運動をしているマシンというのは前後の高さや動く速さにバランスが取れており、いたって穏やかな(ちょっと変な表現だけど)姿勢を保っているものです。

もちろん、この6Rも10Rも前後のサスを車体に組むと手押しをしてみて前後の動き方に平均が取れているか、誰かにマシンにまたがってもらい前後にストロークしてもらったり、前後を一緒に押し込んでもらい、入る速さや戻る速さの前後も動きを見て微調整をすることも少なくありません。 あくまでも単体ではなく、前後の動きのバランスを観察することで、実際にコースを走らせている時を想像して確認するようにしています。

と、このように冬になると暇になるどころか、重整備が多数ありまして、工場もそうですけど、店の方もバックヤードは取り外した外装やエンジンパーツなどの、いろんなパーツでごった返します。

今年の仕事は今日までですので、分解されたままのマシンが多くあり、年が明けるまでお休みすると、その後ちゃんと組めるのか心配になりますね。



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