シリンダの加工と未知(無知?)の加工
シリンダのスリーブ交換作業です。
Zにボアの大きいピストンを使用するにあたり、ピストンメーカーの設定ではそのままボーリングするだけでOKという数値のピストンでしたけど、そのままではスリーブに十分な厚みが残らないと判断しまして、シリンダ本体をボーリングして十分な厚みが出る新しいスリーブを圧入できるように加工しました。
専用の治具を製作してからシリンダを固定し、ノーマルの加工そのものがきちんと位置が出て加工されているのかを測定してデータを取ってから実際に加工に入ります。 この画像のセンサーはそれほどでもないですが、今回導入した工作機械用に購入した測定用のセンサーは60数万円もする優れものです。 加工機もそうですけど、その他の周辺機器も全力投入して様々なものを作り、加工しています。 あくまでもこれまでウッドストックを信用して長年お付き合いしていただいているお客様に対してのサービスですので、エンジンのOHをご依頼いただき、パーツをご購入いただいた方の特権となっています。
シリンダの加工はこんな感じで行っています。
加工しては内径を測定し、また少し削っては測定の繰り返し。 設定しているスリーブ外径との圧入代の数値になるようにするために、当たり前ですけど、スリーブの外径もそれぞれをきっちりと測定して、そのスリーブに対してのシリンダ内径を決めなければいけませんので、ひとつ決めたら他の3つは同じ数値で、というわけにはいきません。
シリンダの加工が完了してスリーブを圧入する段階の様子。
加工の用の治具として使っているこちらの大きなブロックはスリーブを挿入する際にも活躍しています。 スリーブの圧入もきちんとシリンダに隙間なく押しつけないと後で沈んでしまい圧縮漏れの原因になりますので、こちらも手抜きなく作業をしなければなりません。
こちらは新しく導入した機械の加工のシミュレーションをしているところ。
これまでとは違い材料に対していろんな方向から刃物が削っていきますので、複雑な形状の加工が可能ではあるのですけども、機械の能力が可能なだけで、人間の能力のレベルが上がらないと出来ることは同じという、オートバイの進化に対してのライダーのレベルと同じような状況になっています(泣)
とは言え、持っている武器は強力な方が心強いものですけど、その強力な武器を持っていても恥ずかしくないように頑張って人間の能力を向上させていかないといけないと、少々焦っていたりしています。
おざおざは工場で頑張って加工の勉強しているのに、自分はウッドストックの店の作業が忙しくて、なかなか加工に従事することができていないので、更に焦っている今日この頃です。