レース用ステムのあれこれなのです
先日はオーリンズのレース用のフォークブラケットをご紹介しましたけど、今回はJ-GP2というカテゴリーで使用するために製作したステムです。
使用するライダーはカワサキの開発ライダーの高橋英倫選手なので、納得させるものを作るのは大変なんだろうなと思っていましたけど、どうなるでことでしょうか?
この前のオーリンズ用は1000cc、これは600ccとなり、細かいところで設計は異なっています。
一昔前は剛性は高ければ高い方が良いというのが常識でしたよね?
カスタムの世界でも、とんでもない分厚さのアンダーステムにトップブリッジまでM8の2本留め、おまけにフォークスタビライザーなどなど…
フォークのインナーチューブの径は45mmや46mmというのもありました。
今ではホイールもガチガチに硬いものは旋回を損なう(タイヤへの攻撃性が強すぎるといいましょうか?)ということで、鍛造でも流線型的なデザインの方が良いなどという傾向にあるようです。
そうなると、もっともっと大事になるのが、本家本元のフレーム様となるわけですが、これはメーカーが生産した(ぼくたち平民は)ストックを使うしかないわけでして、他のパーツで工夫するのですけど、これがなかなか難しいのですよね?
この画像にあるステムはZX-6Rベースのレーサーでして、オーダーの内容は縦の剛性は上げる、そのことでブレーキング時の安定と旋回初期(クリップまでブレーキを握りながらリーンしていく箇所)の安心感の向上。
また、横の剛性を下げて、旋回中に適度によじれてくれて、クリップ付近っからの旋回のきっかけを作りやすく、FフォークやFタイヤのみに力を集中するのを逃がすという、なんとも難しい課題です。
アンダーステムはフォークのつかみ代を上下に数ミリ伸ばしてみましたけど、つかみ以外の平面部分はSTDステムと同じ厚さにしました。
裏からの肉抜きもかなり大きく取ってありまして、見た目以上に華奢な感じで設計しました。
トップブリッジは更に壁を全てペラペラにしてあり、横の力に対して弱い力でネジレるようにしたつもりでした。
でもでも、そんなに甘くはないですね。
確かにブレーキの安定感は良くなったみたいなのですけど、クリップ付近の旋回の感じは剛性が高すぎるようで、なんとかしないとバランスが悪いとのこと。 恐るべし英倫!
村リンだとタイヤがパンクしていても気づかないかもしれないのに…
ただ、アンダーとトップのどちらが悪さをしているかがはっきりしないので、まずはトップをノーマルを試すことになりました。
これでいくらか良くなればトップの剛性を落としたものを設計しようと思います。
下の画像の丸いパーツはフォークオフセットを可変するためのオフセットカラーです。
ノーマルが26mmに対して、オフセットカラーがセンターにくると27mmになるようにしてありまして、画像にある2mmオフセットするカラーを使うとセンター27に対して、25mmと29mmのオフセットが使えるような設計になっています。
ということは、そのままでは26mmのノーマルのトップブリッジは使えないじゃないか???
なので、今度は1mmオフセットのカラーを作らないといけなくなりました。
これで、センター27mmに対して、26mmと28mmが使えるようになり、ノーマルのトップも使えるということです。
これならセンター26mmで、1mmオフセットカラーで25mmと27mmが使えるようにしておけばよかったですね…
トップブリッジの壁の薄さを見てください!!!
ペラペラでしょ?
これでもダメならMotoGPみたいにへんてこな形状にしないといけないかもしれないですね?
昨年のZX-10R用に作った下の画像のような形状でもそんなに変わりばえしなかったもんな~
もっとえぐいのを作ってみないといけませんねー
やっぱりレースには携わっていないと現在進行形の考え方ができないですね?
失うものもあるけど、得るものも多いということで、今年も何かやらかしたいですね~