キャブレター&インジェクションセッティング

ウッドストックでは工場での機械加工のパートはおざおざが、お預かり車両などのショップでの機能は私が主に担当して作業をしているのですけど、作業の進行状況はずっと工場の業務が遅れがちで、店を閉めてでも工場を手伝わないといけないという状況だったのが、このところ店の作業も2名でするにはどうしようもなくオーバーフローしている状況になり、いささかパニックになっている状態です。 それでも得意?の数台の同時進行はしっかりとしていますので、経過を見に来られたお客様は自分のマシンに変化のないように見えてもがっかりしないでくださいね。 それなりに進めていますので。

そして、こちらのもの凄くカスタムされました(ウッドストックでのカスタムではないのですけど、新旧のエッセンスが織り交ぜてありとてもカッコいいですね~)GS1200はTMR/MJNキャブレターのセッティングでの入庫。 現状の状態をオーナーに伺ってから試乗をしてみます。 ふむふむ、言われたとおりの低中速の不調でけっして乗りやすいとは言い難い感じです。 全体的に凄く濃いそうなのに、低速から一気に加速する瞬間だけ燃料が行ってなさそうでした。 試乗後にダイノマシンでパワーと空燃比を測定してみると、店の空間は前も見えなくなるくらい黒い世界になってしまい、一瞬で身体も蝕まれてしまいそうなくらいの状態でした。 A/F値を見てみると試乗で体感したように開け始めはグラフが振り切るくらい薄く、その後はずっとグラフが振り切るくらい濃いという、これからの調整が困難なのを暗示するような測定結果となりました。

しかも、対戦相手はこのTMR/MJN。 相手に不足はないくらい苦手なキャブレターですけど、さすがにこれだけ数値に隔たりがあるとサスのセッティングも同じだけど、最初は大きくセットを振っていくことから始めます。 ジェットの番手これでもかというくらい大きくを変更して測定しながら調整を進めます。 何度も測定していたら排気ガス中毒で死んじゃいそうになりながらも試乗ができる段階にまでは改善されました。

試乗をしながら細かいところを調整するのですけど、これも打っても響かないので苦戦です。 このところインジェクション車のセッティングをすることが多いので思うことは、インジェクションの100も200もある調整箇所に対して、キャブレターは大まかに言いますとメイン、スロー、ニードルの段数、ストレート径、テーパー角、パイロットスクリュー、エアスクリュー、これで7種類ですね。(厳密にいうと他にも調整箇所はありますけど、主にこんな感じでということで)こんなに少ない調整項目(インジェクション目線の場合です)の中でセッティングするのは非常に難しい上に、人間が好き勝手にスロットルバルブをいろんな速さで開けたり閉めたりしますので、その開ける速さでも空燃比は大きく変わってしまいます。 ですので、このようなレーシングキャブレターの場合は運転の仕方もそれにある程度は合わせる必要があります。 その開け閉めに影響を受けやすい強制開閉のレース用キャブレターはノーマルキャブレターに比べて性能そのものが上がるという考え方は適当ではありませんね。 それに比べて昨今のマシンはアクセルの開け閉めに対してECUがスロットルの開ける量を決めてくれるのですから、両方に相対している自分から見ると技術の進歩は恐ろしいものだなーと感心させられてしまいます。

その最新技術で出来ているZX-10Rレーサーのインジェクションのセッティング。 レーサーですので、燃料マップ、イグニッションマップの他に様々な調整項目があり、自分には未だに全機能の半分も理解できていないレースECUです。 苦手だからと逃げていてはいつまでたっても宝の持ち腐れになりますので頑張って勉強していますが…

オートポリスを走行して問題点をライダーに指摘されましたので、再度調整し直しました。

次回の3月終わりの岡山国際ではセッティングが進んでくれるとよいのですが…

こちらもZX-10R。 インジェクションのセッティングとオートブリッパーの設定での入庫です。 フルパワーにして調整するとで187馬力以上もパワーが出ちゃいました。 この馬力って数年前だと(今でもそのまま参戦できます)全日本に出ても上位陣に着いていけるくらいのパワーでして、そのパワーがノーマルで出てしまうという、恐ろしい時代になったものですね。 車体の価格が高くなったとはいえ、レーサーを作るのに安く作っても500万円以上もかかっていたことを考えると、この性能が普通にバイク販売店で手に入ることは凄いことだと思います。



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