ZのエンジンOH、キャブレターOH
昨日、最新型のオートバイの作業をしたかと思うと今日は40年前のオートバイの作業をしているというウッドストック。 どちらが良いとは言えませんけど、大変さでは圧倒的に古いオートバイに軍配が上がるのは必至のこと…
歪んでいたり、割れていたり、素材そのものが腐食していたり、設計自体に問題があったりして、どんなに修復、再生的な処置をしたとて元通りにはなることはなく、なんでわざわざこんな要介護な物を所有する必要があるのか理解に苦しむこともしばしばです。
それでも古いものに魅かれるところがあるのは解りもしますが、部品入手の困難に代表されるように、それに対する作業を遂行することが年々大変さを増していることも事実になってきています。
こちらはZ750FXのシリンダヘッド。 腰上のオーバーホールでしたので、分解、洗浄後にシリンダとの合面をチェックしてみると、2番、3番の燃焼室の周りが歪んで凹みが出ており、オイルストーンで修正してみてもまったく面が出そうにないので、機械で面研することに…
工作機械に固定してセンサーで測定してみると、やはり要面研というくらい歪んでいましたので、このように研磨して組付けに備えました。
その他のオーバーホール中のZ1の2台のシリンダヘッドも面研しまして、ご覧のように早く組めと責め立てられているような状況になってしまいました。
こちらは30年も前からにZに組まれているミクニのTMキャブレター。
この何年か走行していなかったので、中はグロテスクで公開不可なくらい大変な状態にまで腐食していたものを気絶するのを我慢して泣きながら修復して、なんとかここまで見れるようになりました。
このキャブの装着車両は自分がこの世界に入るきっかけを作ってくれたとも言えるくらいに憧れのカスタムZでして、まさか30年越しで、まさか広島でこのマシンに触れるなどとは思ってもみませんでした。
これも何かの縁のようなものを感じて作業していますが、そこはまさに30年前の技術で製作されたものであり、とても懐かしくもありますが、その作りを見てみると自分たちもこの年月でしっかりと成長しているのだと実感できる作りであります。 しかし、まだそれほど情報も技術も発達していない時期に、基本に忠実にきちんとした手法で作られた当時を代表するカスタムであるからこそ、現代においてもマニアを惹き付ける魅力があるのではないでしょうか。
こちらのGPZ1100Fで使用しているFCRキャブレターも数年乗らなかったことでフロートチャンバーの中は大惨事になっており、嗚咽に耐えながらの作業でして、この画像の状態でもまだそんなに綺麗には見えないのですけど、これでもやっと少しは見れるようになったくらいの状態で、本当にキャブレターという部品が嫌いになりそうなくらいの悪臭を店内中に放ってくれていました(泣)
どのオートバイも様々な病を患っており、それがなかなかの重病であるものが多く、作業前に予測されたよりもはるかに作業に時間がかかってしまい、お客様には多くの時間をお待ちいただいております。
しかし、焦っては良い仕事をすることはできませんので、そこは自分の大事なオートバイのために気長にお待ちいただければありがたいですね。 仕事が遅くてすみません。