バイクの作り方
クランクシャフトの歪みの測定です。
90年代前半はウッドストックのレースチームには、2サイクルのレーサーたちがたくさん所属していたので、この作業はよくやってました。
歪みを治すために、ガンガンとハンマーで殴っては測定を繰り返して、芯を出していたものですけど、
あるとき、レーサーは治して使うくらいなら、新品を組むものだ、ということを教わり、すっかりやらなくなってしまいました。
当時はクランクシャフトもクランクケースも消耗品という常識を知りませんでしたもので。
ちなみに写真のはSR500のクランクです。
こちらはフロントフォークスプリング
レートが足りていないということで、高いレートのスプリングを探したのですが、車種的に該当するものがなかったので、長さの違うスプリングを使うことになり、
スプリングとスペーサカラーの長さを足した数字が同じになるように、スペーサを製作しました。
製作とは言っても、スチールの丸いパイプを使って長さと内径を合わせるだけなので、大げさな
作業ではありませんですが。
上のスプリングがノーマルのダブルレート、下がシングルレートの高いバネレートのスプリングです。
画像はありませんが(写真を撮り忘れて、すでに組み込んでしまいました)今回は更に高いレートに変更してあります。
このようにレートを上げて、乗りやすくなり、乗りやすくなると、走行ペースが上がるので、また更にレートを上げたくなる、という流れになりました。
もちろんリアとの兼ね合いですけど、リアが硬くなれば、フロントが押されて、フロントが負けてしまい、フロントを硬くする。 フロントを固めると、フロントがリアを押して、リアが負け始めてしまい、リアを固める。
というようなパターンが多く見受けられます。
しかし、どこかで両方が硬くなり過ぎて、他のネガが出現してしまうので、車高や他のジオメトリーの変化が必要になることになります。
結局、ライダーの技量(またはペース)が上がると、車体の変化の要求があり、
車体が良くなると、ライダーの技量(またはペース)が上がる。
そうすると、また車体の別の要求が出てくる。
といった流れになるわけです。
なので、一流のプロライダーが乗ると、マシンはどんどん早い速度で進化するし、同じく一流のメカニックがマシンを作ると、同じように、マシンはどんどん進化していくのです。
なにが言いたいかというと、メカだけではマシンは進化しないし、乗るばっかりでもマシンは進化できません。
ライダーの進化とマシン進化は常に同調しながらでないと、いいバイクは作れないということでしょうか?
たくさん何かを感じ取りながら走行すると、いいバイクになりますよ。
簡単なところでは、タイヤのエアが低いのを気づいて調整したら、乗りやすくなったのに、気づかずにそのまま乗っていたら、ずっと本来の性能が出ずに、なんとなくしっくりこない…
なんていうことになります。
この辺のことを気づいてあげることも自分たちの仕事ではあるのですが、やっぱりいつも乗っているオーナーさんが一番そのバイクのことは詳しいはずなので、たくさん乗って、駄目だししてみてくださいね。