ZZR1400サスセッティング
先日のZZR1100Cに引き続き、今回はZZR1400のサスペンションセッティングです。
この2台のオーナー様は同じ方ということで、車種の異なるオートバイではありますが、似たようなフィーリングを求めてウッドストックに依頼されてきました。
ZZR1100Cは正立フォークで前後ともかなりソフトな動きをするのに対して、ZZR1400は倒立フォーク(しかも入庫したときはノーマルよりもハードなレートのスプリングに変更してあり、減衰も上げていたようでした)、オーリンズのリアサスを装着してあり、当然のことながら作業前の試乗して確認したところ、スポーツ走行するには大きな問題はないような、わりとしっかりとした動きをしているようでした。 いわゆるよくあるカスタムZZR1400と言った感じです。
かちっとしているのでインジェクション特有のツキの良さの悪影響でスロットルの開け締めによる前後の動きをサスが吸収できていないのと、路面のギャップの吸収性がよくないのが気になるところ。
これをZZR1100C風にですか… ハードルが高いかも?
フロントのスプリングはノーマルに戻して、極力プリロードはかけないでIGを増やす方向で作業して、リアは先日もご紹介しましたような方法で、バネレートを下げて、プリロードも抜いて、こちらもIGを多く取ってフロントよりもリアの車高を下げることにしました。
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最初にオーリンズに組まれていたスプリングはきっちりとデータどうりに160mmありましたので、油圧プリロードを全部抜いた状態で15mmのプリロードがかかった状態で走っておられたことになります。
今回交換する低いレートのスプリングは160.5mmありました。
160よりも長いのってすごく珍しいですね。 だいたい短いことが多いのですけど。
オーリンズは油圧プリロードをロックしている大きなナットを上下に移動するととっても調整範囲が大きいので便利ですね。(前回も同様の記事がありますので見てみてね)
今回もネジネジを上方に移動してプリロードのかけ方を大きくオフセットさせました。
で、下の画像のように160.5mm-151.5mmで9mmスタートのプリロードに変更しました。
そこから1mmスプリングを潰して160.5mm-150.5mmで10mmのプリロードで組み込んでみることに…
プリロードアジャスターのくるくるで1回転で約0.5mmプリがかかるのですけど、トップアウトスプリングの影響でネジや油圧で押した分ほどスプリングが潰れていないこともありますので、写真のようにノギスなどで測定しながら初期調整するとより正確にできますよ。
組み込んでから空車IGを測定。 作業前に測定してありましたので比べてみると、リアサスの長さは変えていませんけど、かなりmmリア下がりになりました。
続いて乗車IGも測定。 こちらは更に作業前とは差が出ました。
狙いどうりの数字になったのですけど、プリロードで下がった車高をサス長を調整して車高を元に戻すかどうかを悩みましたが、前後のスプリングとプリロードの調整で車高が下がったものがどんな乗り味になるか興味深かったので、このまま乗ってみることに…
しかし、さすがにこれだけバネの力を弱くすると、手押しでもダンパーの効き過ぎはわかりましたので、減衰の調整もかなり抜いてから試乗してみました。
前回紹介したZZR1400と基本的には同じパーツが装備されているのにも関わらず、まったく別物のフィーリングで我ながら感心しながら走行しました。
スパスパと切れ味のある動きはなくなりましたけど、しっとりと重心の低い安心感のあるフィーリングで、ステップワークでリアが寝ると遅れずにフロントがついてくるような少し年式の古い車種のような(いい意味でですよ)感じになりました。
喜久川(今年の8耐での走行時間よりも最近試乗で乗ってるな)も走行しましたが、自分と同じようなコメントで一安心。(全日本ライダーに同意してもらえると、今まで自分なりに試乗して考えてセットしていたのが大きくは間違っていなかったと自信がつきますね)
もちろんガツンと強くフロントブレーキをかけるとノーズダイブのスピードは速いですし、すぱすぱと左右に切り返すような動きには少々鈍なイメージになりましたけど、日常の使用方法でそのような状況はあまりないわけで、ツーリング、街乗り、時には渋滞で車の後ろで一速で少しアクセル、少しブレーキを繰り返すようなこともありますことを考えたら、何が何でも強化なんちゃらとか、ハードなんちゃらばかりがカスタムパーツ、レーシングパーツというような思考は捨てて考えないといろいろな好みのオートバイ乗りには対応できないのでは、と思います。
ただし、あくまでも自分たちがいいと思うだけではダメなので、オーナー様のダメ出しが出なければいいですけど。