速く走るためには
全日本ロードレースに長年にわたり参戦して頑張っているのになかなか報われない村上君。
この日もウッドストックでZX-10Rのメンテナンスのために一時間以上もハイエースを走らせてやってきました。
フレームまで全部分解して清掃してグリスアップしながら組み上げます。
先日、紹介したトップライダーの大﨑選手のようなライダーと違って、すべて自分で準備しないといけないので、ほんとに大変だと思います。
頑張っているので、何とかしてあげたい気持ちはあるのだけど…
オートバイのレースって、MotoGPやWSBなどを見ると、マシンの性能差が大部分を占めているように見えますよね。
しかし、全日本の二桁順位くらいのなかでは、マシンの性能も大事なのですけど、やっぱりライダーのスキルの部分が大半を占めてしまいますので、ぼくらにできることはかなり限られます。
実際、彼らと接する際にも、セッティングはそこそこのバランスを作っておいて、あとはライディングの技術を身につけることができるように、ライディングフォームから始まって、目線、ニーグリップ、荷重のかけ方などの自動車教習所で習うようなことを常に教えています。
このような全日本ライダーでも基本的なことがまったくできていないことが多く、オートバイというのは2輪車ですので、それだけでは自立できない大変不安定な物体です。
なるべくこの不安定な物体に前後左右に負担をかけないで、乗車することが不可欠なのですが、レースのシーンのアグレッシブなライディングを見て大いに勘違いして、自分も似たようなアクションをしてしまうライダーが多いのが事実ですね。
サスペンションやタイヤは優しく乗っているとその許容度は大きくなりますけど、雑に乗ると極端に許容度は小さくなってしまいます。
まだタイムが出ていない状況下での細かいセッティングの変更で、よく曲るとか曲らなくなったとかの要求のでてくるライディングは単にマシンに対して無理な負荷をかけているだけのことが多いので、まずは自分の乗り方を見直すことの方が、より早くタイムアップにつながるのではと思います。
昔と違ってタイヤの性能やマシンの性能や飛躍的によくなり、乗ることに集中できるようになったはずなのに、逆にいろんな情報を簡単に入手できるようになってしまい、ついついセティングに走ってしまう、ライダーやメカニックが増えてしまったのが残念ですね。
情報だけを元にしたセッティングほどあてにならないものはなく、今ある現状をよく把握して、ライデングが問題なのか、マシンが問題なのかを考え、適切に両方で解決していかないといけないと思います。
メカニックはライダーが上手に走れるためのちょっとした味付けくらいしかできないので、まずはたくさん練習しましょうね?