GPZ900Rエンジンオーバーホール
GPZ900Rのエンジンのオーバーホールです。
こちらも創業当時からのお客様で数回目のオーバーホールですので自分の組んだエンジンが数万キロの走行後にどのようになっているのか自分の目で確認できるのでとても勉強になりありがたいことですね。
このエンジンは900Rにありがちとされているカムシャフトやロッカーアームの摩耗は見られなく、前回のOH時同様にパーツの交換の必要はなさそうでした。
と、順調に分解しながら各部のチェックをしていましたが、トランスミッションのベアリングにガタが…
本来動くはずのないベアリングの外周にも回転した形跡のあるのが見受けられました。 大ピンチです。
ベアリング単体での左右方向のガタもあり、今回分解しておいてよかったなーという印象でした。
ベアリングなどの消耗品は不具合を見つけて交換すればよいのですけど、大きな問題はクランクケースの不良です。 ベアリングの荷重に負けてケースが減っていました。
減っているのはやはりドライブチェーンに引っ張られている方向にベアリングがクランクケースに食い込むような状態で摩耗していました。 これだけ摩耗しているとベアリングがケース内で回転するわけでして、こうなってしまうとクランクケースの交換が必要になってきます。
レースの経験が長い方にとってはクランクケースは消耗品だということは常識になっていますが、一般的にはピストンやバルブと違ってシリンダヘッドやクランクケースはいつもまでも使えるものと認識されているかと思います。 しかし、エンジンの各パーツを支えている屋台骨はクランクケースでして、常に大きな力で上から叩きつけられる、前後に引っ張られている、壁の薄い弱いアルミで作られているという立派な消耗品なのであります。
特に大きな排気量で大きなパワーでラフに使えば使うほどライフは短くなってきますので、しっかりとした距離の管理でのメンテナンスをお勧めします。