ZR-7エンジンOH、修復作業
カワサキZR-7のエンジンオーバーホール
26万キロ以上走ったエンジンは思いがけないところが脆弱になっており、十分に準備してからエンジンを組み始めたと思ったものの、小さなトラブルと戦いながらの作業になりました。
Zなどの旧車ではエンジンのM6のネジ山がなめて、ヘリサートを挿入することはしばしばありますけど、今回はシリンダにシリンダヘッドを乗せてM8のボルトを締め付けようとすると、“ニュルッ” という感触。 トルクレンチの数値が規定値まで上がらなくなり2本とも終了となりまして、泣く泣くもう一度分解して、ヘリサートで修理することに…
と、ここまではよくある流れだったわけですけど、ヘリサートの作業が完了して、再びシリンダヘッドを乗せて、M10のヘッドナットを締め付けて、問題のM8のボルトを締めると…
“ん、えっ、もしやまたなの?” なのです。 今度もこれでもかという感じでシリンダヘッドのアルミが負けて、ヘリサートが力なく上がってきました。
再びシリンダヘッドを取り外して、また違う方法で再挑戦。
でも、もうこれで失敗するとシリンダは使えなくなってしまいますので、慎重に慎重に修復作業を試みました。
せっかく組んだエンジンにアルミの削り粉が入らないように処理してからの作業です。
なんとかネジの再生工具を挿入して形だけは成功。
挿入された物体が踏ん張ってくれることを祈りながら、シリンダヘッドを組付けます(なんと3回目、トホホです)
そして、本当に3度目の正直で、キチンとトルクも出てくれました。
なんでシリンダヘッドだけ綺麗なの? と思われるでしょうけど、そこは突っ込まないでくださいませ。 これはこれでいろいろあったのです(泣)
なんと26万キロで、なんと2回目のオーバーホールでした。
このZR-7、次回のオーバーホールでは何十万キロになっているのでしょうね?
旧車の人気があって、古いオートバイに乗っている人がとても多いのだけど、当時生産された部品はどんなにオーバーホールして消耗品を交換したところで、クランクケース、シリンダ、シリンダヘッドなどの金属そのものはそのままで劣化し続けているわけですので、OHすればいつまでも使えるなどというような希望を持っていたとしてもそれは無理だと思うのです。 パワーの受け止める一番大切なクランクケース、パワーを発生しているシリンダヘッドもみんな消耗品だということを理解して大事に乗ってくださいね。