GPZ900RサスペンションOH&調整

GPZ900Rのサスペンションメンテナンス&セッティング

たまたま同時期に入庫した900Ninja。 赤い方の1台は基本ノーマルな姿勢に近く、サスの動きもノーマル+α的な乗り味の大変バランスが良いマシン。 もう一方の黒いマシンはレースに参戦していたのは20年くらい前でしょうか? レーサーをベースにしていることから、なかなか尖がった印象の乗り味なマシンです。

この2台、まず大きく違うのはその姿勢。 入庫時のキャスターの角度は約3°も違っており、同じ車種とは思えないくらいの動きをしていました。 さすがに立っている方のマシンは寝かし込みのマシン本体の速さが操作する側のスピードとあまりにも差がありすぎて不自然な前後のスピード感に戸惑うような印象でした。 対して赤い900Ninjaはキャスター、トレール、そしてサスのスピードと本来のこのマシンが持っている良いところを損なわず、少しだけ気になる部分を上手に解消していて、何の気遣いもなく自然にライダーの意図するスピードでマシンが動いてくれるような優しい印象でした。 もちろんウッドストックによるFCRのキャブレターセッティングも上手く機能して(いやいや、自分で言って照れますな~)どこにも尖がることなく、マシンのスピード感にエンジンの出力がマッチして乗りやすさに貢献しています。 こちらのマシンはフロントフォーク(ビトーR&DさんのFフォークです)のOHでの入庫でしたが、これはもうこのままのメンテナンスで十分でしたので、敢えて手を加えることなくOHさせていただきました。

さてさて、こちらのブラックニンジャはどう攻略しましょうか? ということですが、まず一番どうにかしたいのがフロントの低さとストロークスピードの速さです。 数値的にはフロントフォークの突き出しを10数mm戻してキャスター角を1.5°程度寝かせてみます。 さらにフトントフォークを分解してみるとスプリングレートは問題ない程良いレートでしたので、減衰を強くしてキャスターを寝かせることにプラスしてフロントに入力したときの位置を上方に上げる(ストロークスピードを遅くする)ようなセッティングに変更しました。 いわゆるキャスターやトレールというような数値は基本、マシンが止まっている状態での数値ですけど、それよりも大事なのはマシンが走っている時のその瞬間、瞬間の姿勢です。 例えば減速をしている状態での角度(前後の高さ)とサスのスピード、寝かし込む瞬間の高さとスピード、フルバンク時の前後の高さのバランス、加速状態での高さとスピードが適正でないと止まっている状態での数値が良くても何の意味もありません。 しかも常に前後がお互いに干渉しながら押しあい、引き合いしていますので、どちらか一方だけに注力することのないように、お互いに良い影響を与え合えるように、前が後ろを、後ろが前を動かしているというようなことを考えながら調整するようにしなければいけません。

ということから、リアサスもOHをしてフロントに動きを合わせるべく調整していきます。 元のスプリングは油圧プリロードアジャスターがまったく押していな状態でも20㎜近くもイニシャルがかかっていましたので、スプリングレートを変更すると同時に160mmの長さから150mmのスプリングに交換し、さらに油圧プリロードの位置を下方に数mm下げてプリロード12~13㎜スタートで調整できるように変更しました。

油圧プリロードの位置をアジャストナットで変えるとイニシャルの数値が変わるので便利ですね。

150mmのスプリングは実測すると148.7mmでしたので、この数字から設定したプリロードになる長さまで実測しながら合わせていきます。

例えば、148.7mmから13mmプリをかけるとなると組付け長は何ミリ? というように

初期の数値を決めて、さらにはトップアウトスプリングが内蔵しているサスは機械的(油圧的)にスプリングを押してもトップアウトが潰れるまではサスの長さが伸びるので、かけたと思っている分はスプリングの長さは短くなりませんので、このあたりの数字の変化量もサス単体で確認しておくのが良いですね。 このやりとりはこちら側の管理のしやすやの問題だけですので、乗る側の皆様は乗りやすいとか乗りにくいとか、高いとか低いとか、速いとか遅いとかをこちら側に伝えるだけでいいのですのであまり難しく考える必要はありません(自分がややこしくしているだけでしたね~ すみません)

で、結果としては前後のサスの数値はかなりの幅で変更したことから、かなり乗り味は激変しました。 街乗りとしては硬く、遅くなり、少々レーシーな印象のイメージになりましたが、お客様のワインディングで気持ち良く攻めれるマシンにというご要望に添える動きを手に入れたかな?という感じです。 一気に大きく変更しましたので、これが基準値としてとらえていただき、これから乗りながら細かく調整していけばどんどん良くなると思いますので、どんどんウッドストックを利用してもらえると嬉しいいですね。

そのあとに試乗したこちらのGPZ900R。 もう全然別物。 凄い乗りやすかった。

同じ車種なのにちょっとした数字の違いでまったくフィーリングが異なるということ。 一日のうちにこんな経験をすると本当にカスタムの難しさを思い知らされますね。 と同時にオートバイって面白い乗り物であると再確認させてもらいました。 やっぱりバイクは理屈も大事ですけど、乗らないと何も解りませんですね。

 

そうそう、お伝えしようと思っていたのにいつも忘れていましたけど、Woodstockのホームページ http://woodstock-racing.com/ の中にWoodstockの専用のブログページができています。 内容はこちらのものとまったく同じなのですけど、少しデザインが違ったりしていますのでそちらも覗いてみてくださいませ(こちらをアップしてから1日近く時間差があってから専用ページにアップされますけど見てみてね)

http://woodstock-racing.com/blog/web.php

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