トラブル修復
いつもこのブログでは真面目にやってます、手間ひまかけてます、確認は凄いしていますなど、いいカッコをアピールしてはいるものの、常に頑張ってはいますし、そして決して手を抜くことはないのだけど、いつも完璧な仕事ができているわけではなく、それでも納品前や納車前にその不具合やトラブルを発見して、ちゃんとしたのもをお渡しできるようにしているつもりなのですけど、やはり時に自分たちの経験不足や判断のミス、そして知識、技量のなさからお客様にご迷惑をおかけすることもないわけではありません。
エンジン腰上のオーバーホールのついでにオーバーサイズのピストンを使えるようにする際にボーリングのみでいけるかどうかを考えた時に、メーカーの指定ではボーリングオンリーであったり、予算が大きく変わったりすることもあり、スリーブを製作、交換せずに、ボーリングだけでいきましょう、ということになりました。 実際にボーリング後のスリーブの厚みは引き算で解っていましたし、大丈夫かな? 大丈夫だよね? という懸念はなかったわけではありませんでした。
結果としては、納車後間もなくしてオイルが消費しているのではという報告があり、いろいろと経過の状況を伺い、実際にファイバースコープでピストンヘッドやスリーブの内壁を見てみると、これだ、というようなはっきりとした不具合はないものの、なんとなくオイルが燃えているような痕跡がありましたので、シリンダまで分解して、スリーブ内径を測定してみると、ボーリング後に測定してあったデータからは少し、規則性のない歪みが見受けられ、自分の作業内容を決める時の判断ミスだったと、リカバリーするにはスリーブを製作してボーリング、シリンダもボーリングして、シリンダの上面研磨までして組み直さないということになりました(泣)
確かに、やりたい内容に対しての予算に隔たりがあることも多く、そこを自分たちの長年の経験に基づいて、良いバランスでプランを立てることが役割だと思っているのですけど、仕事欲しさのために少しの疑念をもつような内容にしてしまい、結果としてお客様にご迷惑、ご心配をおかけしたり、さらなる長期のお預かりといったようなことにもつながりますので、内容を選択する際には安全マージンが取れるような方をお勧めして、そのことでコストが増えることに対してもしっかりと説明するように心がけるようにしないといけないと深く反省するできごとでした。
しかし、このような状況になってもウッドストックに対して快く対応していただけることにとても感謝して、完成したマシンを高知県までお渡しした次第なのですけど、この仕事を続ける限りは、あのエンジン大丈夫かな? と、ずっと気にしていかなければいけないオートバイが増え続けていくというプレッシャーと戦いながら仕事を続けていかなければいけません。
そして、広島に3泊して納車のついでに中国地方を走りにはるばる宮崎県から引取りに来ていただいたGPZ900Rは納車してから、思いがけないトラブルがあり、手直しをして今日、宮崎までお帰りになられます。 こちらも、宮崎まで大丈夫かな? と心配になる車両がまた1台増えることになりました。
「お前、そんなに自信なくて大丈夫なのかよー」 と怒られそうですけど、長くやっていけばいくほど、様々な状況に出会う回数が増えていきます。 それはまさかというようなことも多々あり、特にレースなどでは、さっき交換した新品パーツがすぐにダメになったり、自分は経験ないけど、OHしたてのエンジンが慣らし中で壊れたり、メーカーの人でさえ??? というような出来事にたくさん出っくわしてきました。
もちろん、ノーマルのままでしか作業しないというスタンスにすればここまで心配事が増えることなないのでしょうけど、それではウッドストックじゃないですし…
悩みはつきませんね(泣)