Z900RS CAFE ECU調整
Z900RS cafeのECUのマップ製作です。

以前にも数回、Z900RSのインジェクション調整はしていましたので、今回はその時のデータがあることから珍しく作業がサクサク進むぞー(サクサク進んだことなどないのだけど…)、と楽観視していました…

しかし、マフラーの出口を見てみると、このような小さな小さな穴が…
とても900ccの排気が問題なく排出される容量ではなさそうで、少々不安になりますよね?
最初に確認のために試乗してみても、何か詰って抜けにくそうな吹け上がりを感じましたし、アクセルに対してのドンつきを嫌ってファイナルレシオをかなりロングに変更していて、ノーマルよりは多少ましになっているものの、ギクシャク感はまだまだ改善の余地がありそうですので、空燃比を適正にするのと同時にドンつきの対策も施すような内容で作業を進めます。

シャシーダイナモで測定してみると、実際に試乗して感じたことと同じような結果が出ました。
かなり燃料は濃い状態でしたので、目はシバシバ、息は苦しくなるような排気ガスが出ちゃっています。

以前に製作したマップを入れてみても、速度リミッターは解除されてはいるものの、空燃比は濃い状態には変りありませんでした。
このようにいくら同じ車種であったとしても、以前に作ったデータを入れ替えたからといって、簡単に通用するわけではなく、エンジンの状態やマフラーのスペックなどで、必要となる数値はかなり変っていきます。

そして、こんな感じで燃料を調整していくとだんだんと空燃比とともにパワーも上がっていきます。
ただし、この空燃比、適正値から多少狂っていたからといっても、そんなに乗り味が大きく変わるものではなく、この作業で得た収穫よりも、電子スロットルの制御の方がはるかに乗り味に影響が出てきます。
このZ900RSのようにサスペンションの動きにも悪影響が出るくらいのドンつきがある場合には、特にそちらの制御を調整したほうが効果的であることは実際にマシンに乗ってみると実感できるはずです。
ですが、この車種は新しい年式なのに、現代のスーパースポーツのような、なんちゃらバイワイヤーではなく、一、二世代前のシステムですので、2次側のスロットルバルブの開閉の調整でなんとか対策を施しています。
古いシステムでもきちんと調整してあげると、アクセルの開閉に対して、スムースな加減速になり、サスの動きまで、まるで上等なサスに交換したかのような乗り心地に変わります。
あとは1速から6速までのギアポジションに応じて、全てこの制御を変えてあげることで、よりスムースに加減速が出来るようになりました。
最初は全部のギアで同じ開け方にしたところ、お客様からのご指摘があり、指摘された通りに乗ってみると、確かにそうかも、というようにいくらかスムースさに欠ける内容でしたので、閉める量、開ける量を細かくギアごとに吟味しています。

ということですので、このようなグラフでは見えない部分の方が大事ということと、実際に乗ってみないと何も理解できるはずがないという教訓をいただいきましたという内容のブログでした。