マシンのセッティングって…

前後の車高を変えて良く曲るようにする???

リアを上げた方が良く曲る???

サスが柔らかく動かないと曲らない???

サスのストロークがたくさん残っているからイニシャルやコンプレッションのダンパーを抜く???

進入でフロントが切れ込む???

立ち上がりでリアタイヤが滑るからトラクションコントロールを強くする???

ウイリーするのが嫌だからウイリーコントロールを強くする???



んーーーーー…

それって全部オートバイを上手に操作すれば解決するかもしれないことなのに、操作することを放棄して、オートバイや部品に責任転嫁して、何やら不思議な理由つけて、自分の努力なしでは永遠に解決しないであろうセッティングの世界に溺れて、あてもない数打てばどれかが当たるかもしれない宝くじを買いあさるのと同じような調整に終始するような、無駄なことの繰り返し作業なのだと思われます。

止めるのも曲るのも加速するのも全部ライダーの仕事であり、かなりのレベルまでは操作次第でマシンの動きはコントロールできるはず、というかコントロールできるようになり、どのように走らせたいかが解らなければ、セッティングの方向も決まりませんし、方向がないから数打てば… というような無謀な作業に逃げてしまうことになるわけなのです。

なんでこのようなことを言うかというと、常識だと思われている知識があまりにも非常識で、初めて関わる人がフォームも教わらずに、いきなり200馬力のマシンで300キロで走ろうとしたり、初級者レベルなのに、いきなりパーツに頼ってしまうというような不思議な、他にはないようなスポーツであることに、いささか疑問を生じてしまっているからなのです。

野球であれば、投げる、捕球するなどを学ぶ時に、まずはどんなフォームでどこに力を入れて、どこには力をいれないのか、などなど、たくさん学んでからキャッチボールを始めます。 ロードレースの場合には何も基本的なことを学ばずに、いきなり無謀に走ってみて、タイヤが~、サスが~、電子制御が~、などということになるわけですから、これでは一生速く走ることは不可能な流れに乗ってしまうわけですね。


私達メカニックがいろんな数値を決めるにはひとつひとつに理由があります。 

例えばこちらのマシンにこれからフロントフォークを取り付ける時に、一体どれくらいフォークを突き出すのか…

キャスター角度を何度で走らせたいのか? そのときのスイングアームの垂れ角度は何度になっているのか? 前後のタイヤ半径は決まっているから、垂れ角とスイングアームの長さでスイングアームピボットの高さは割り出せます。 逆にピボットの高さが解れば、スイングの角度は割り出せます。 このように、どこは何度に、どこは何ミリに、という明確な数値の目的がなければいけないのです。


設定したい数値はないのに、やみくもに、この辺や…


この辺を触ってしまい、サス長を変更してしまうと、静止状態の角度が変わるだけではなく、リンクの位置も変わってしまい動き方そのものも変化してしまいますので、注意しなければいけませんよね?


特にカスタム好きな方達はこのようなパーツでリアを上げたがりますが、きちんとした目的があっての変更ではなく、なんとなくというような、やみくもに実験のような変更は良くなったのか悪くなったのかさえ分からなくなりますので、お勧めできません。


こちらのようなリンクロッドの変更もリンクの位置が変わり、動きが変化しますので、気をつけないといけないですね。

車高を落としたり、上げたりする場合に、わりと簡単に作れることもありますが、この数値で変化させてしまうと、サスの動きが悪くなったり、逆に動きすぎるようになりますので、難しいパーツかと思われます。


もっと難しいのがリンクです。

ウッドストックでも散々作っているじゃんか? と言われてしまいそうですけど、それなりに計算して作っても、変更後の作業は困難を極めます。 スプリングレートの設定から、何から何まで変わってしまい、その後の調整を長ーい目で付き合う気がなく、変更してすぐに評価を出してしまうと、ほとんどの場合には前の方が良かったということになります。


いくらたくさん製作したところで、レースではひとつしか使いませんから、本当にこんなことに凝ってしまうと、無駄な努力ばかりをする羽目になってしまいます。

で、結局のところ、速いライダーが乗れば、良いタイムが出るし、下手なライダーが乗れば、どんなセッティングでもたいしてタイムは変わらなかったということが多く、一体何が正解で、何が不正解だったのかを評価することさえ、良いライダーでない限りは難いのです。

ということで、マシンはノーマルという基本を崩さずに、基本をしっかりと身に付けるような練習をすることが一番速く走れるようになる近道だと思います。


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