ハンドルワンオフ製作&おせっかい作業
ビモータDB1。 独特すぎるカウル形状でハンドルのポジションに制約があり、せっかくコンパクトで乗りやすい車体なのに、ポジションには余裕がなく、辛い姿勢をなんとかならないものかと、ハンドルの製作とステップの改良を依頼されました。
これまで、だいたいのことは何とかしているので、今回も大丈夫と、安請け合いしたのは良いのですけど、程良い高さと幅、垂れ角を確保しようとすると、カウルやタンクカバー(と言っても、それらは全部一体になっているカウルなので、少しだけ加工するとか不可能なのです)に干渉してしまい、既存のデータのあるものでは対処できず、しかも、平面での確認であれば簡単なのですが、空間で管理しないといけませんので、実際に作って、マスターシリンダやスロットルホルダーやハンドルスイッチなどを組んでみないことには確認できず、それはそれは大変でした(泣)
見てみるとハンドルが手前にあり、ちょっと違和感があるかもしれませんけど、もうこのようにしか元の絞り切って、低すぎるハンドルからは脱却できませんでした。
これでも前後方向、垂れ角、絞り角度はこれくらいが精いっぱいで、これからマスターシリンダのオイルタンクの位置を決めて、ステーを作ったりして、細かくカウルから逃がさないといけません。
板に穴を開けてというような形のもので確認ができれば簡単なのに、この形まで作ってみないことには本当にこれで良いのか解らないから辛いところですね?
図面が用意されていたとしても、たったひとつのものを作るのは大変だし、時間がかかるものなのに、この場合には図面を書き始めるための寸法を決めるまでに、とてつもない時間がかかりました。 これから同じものを作ることは何十分、何百分の一の時間で作れてしまいますので、やはり図面があったり、プログラムなどの準備ができている場合と、何もないところから作り上げる場合とでは労力が違いすぎますね? とは言え、宿題の大きな問題があと少しで出来そうですので、もうひと頑張りしてみます。
こちらは転倒で壊れたステップの補修をウッドストックの部品を使って修復したゼファー1100です。
当初なかったペダルにベアリングが入って動きは良くなりました。
修理ができて試乗した時に、「んっ? なんかハンドリングが変かも…」 と感じていましたが、タイヤが相当に古くて、偏摩耗もしていたこともあり、お客様から 「タイヤも古いから交換してください」 というご依頼があり、だったらちょうどタイヤのせいなのか、また、計測して気になっていたキャスター角が寝過ぎていることでトレール量が過多になった時に立ちが強すぎることで起こるハンドリングの違和感かの確認ができることになりました。 結果、タイヤを交換したことに対しては非常に良くなったのですけど、違和感を感じていた症状そのものには変化がなく、やっぱり、トレールが大きすぎだなと判断。
キャスター角を計測しながら1°程度立てるくらい(この時、空車1Gだけではなく、乗車時にも確認しています)フロントフォークを突き出しすると、やっと自然なハンドリングが戻ってきました。 ハンドルを握らずにニーグリップだけで左右に寝かせた時に、人間が心地よいスピードでマシンが寝ながらハンドルが自然にステアするようにならないと、知らないうちにハンドルに力が入ってしまい、逆にフラフラしてしまいます。 この場合、フロントタイヤを18インチから17インチにしたことで、高さが変わり、そこから調整を余儀なくされます。 これくらいならば少しの調整で済むのですが、旧車などに対して、ホイール、フロントフォーク、スイングアーム、ステムなど、たくさんのパーツを新規に交換すると、それはそれは大変で、様々な数値を理解してバランスを取らないと、逆にまともに走らなくなるものです。 どこか他で作った車両がよく入庫してきますが、ほとんどの車両はフラフラして、ハンドリングに落ち着きがありません。 みんな高い高性能を言われるパーツに替えると走りが良くなると信じていますけど、良い角度、良い速度で前後がシーソーしてくれるバランスを取れないのならば、ノーマルの方がはるかに良いはずです。
この作業はお客様に頼まれたわけではないのですけど、ずーと昔からのお付き合いの方ですので、ご理解いただけると思い、勝手にやっている作業です。 もちろん信頼関係がなければこのようなおせっかいはすることはありませんので、ご安心くださいませ。
そんなこんなで、ウッドストックが儲からない理由が少しは理解できましたでしょうか(笑) …(泣)